「Non stop Lovin you」 満月浮かぶ空の下。 忍び込んだ無人のスタジアムが、今宵のデートコースの終焉だ。 普通、恋人同士であれば肩を寄せ合い手をつなぎ、お月様でも見上げながら ずっと、こうしていたいね」なーんて呟いてキスのひとつでも交わすのだろうが、俺と庵の場 合 は時としてラブラブな関係を越え、拳と炎を交えての 真剣勝負を繰り広げることもある。 熱くてスリリングな時間は、2人にどうしても欠かせない。 「・・・・・・ッ・・・・」 庵の炎が掠めた左手がかすかな痛みを伴って、じわじわと疼きだす。 灼かれた痛みを振り払うように手をぷらぷら動かしながら、俺は目の前に立つ庵に問うてみた。 「なぁ、おまえってばほんとに俺のこと愛してる?」 そんな不信の声に庵は心外だとでもいうようにわざとらしく一瞬目を見張って見せて。 が、すぐに涼しげな顔に戻って言葉を返してきた。 「まだ疑うか。昨日痛いぐらいに分からせてやったばかりだろう? ベッドの上で」 「ああ、たしかにあれは痛かった……」 「痛いだけだったか?」 「んん、いやまぁ、そんなことはなかったけ…ど、じゃねーよ!」 つい回想に入りかけたが、ニヤリと笑んだ庵の顔に気づいて、俺は慌てて打ち消した。 ―恥かしいことを思い出させないでくれ。 にしても、危ない男に愛されたもんだとつくづく思う。 八神庵という男は今朝まで濃厚に愛し合った相手に、つまりこの俺相手にだが、 ひとたび勝負となればその夜にはもうとことん容赦がない。 それはそれは華麗なる妙技連発だ。 おまけになんだかとても嬉しいらしくて、煌々しちゃってるような気がする。 ああ、でも幸せそうでなによりだ。(ちっとばかし歪んでるような気もするが) この男を幸せにできるのは、もうこの地上に俺しかいないだろう。 そう思うと悪い気はしない。 だって俺もどうしようもなく、こいつに惚れてるし。 「同じ時代に生まれてきたことを感謝しろよ? 庵」 灼けた皮膚をペロリと舐めつつ、庵に不敵の笑みを向けてやる。 それからゆっくりとその腕を庵に差し出して、ひとさし指をクイと持ち上げて見せた。 「かかってきな」の不遜なサイン。 こうなったらこっちだって、炎も技もだし惜しみなどしない。 庵の煌々が増すのが見て取れた。 これもひとつの愛し方。 そして今宵で何度目になるだろう? 俺も危うい男を愛したもんだと、つくづく思うことは。 終わる。 ラブ万歳。 2003/06/09 戻 る |