「仲良し日和」





枯れ芝の下から新緑が芽生えはじめている土手に腰をおろして、京は

雲雀の声が響き渡る青空をぼんやりと見上げていた。傍らには八神が

両腕を枕にして仰向けに横たわっている。

顔を合わせてまもなく始まった挨拶代わりの体術戦後、二人はさした

る会話をすることなく、半時ほどをその場所で過ごしていた。

さきほどの激しさはすっかりなりを潜めて。

本当に眠っているのか、八神はいっこうに目を開けない。

冬からこっち、八神はよく眠る。

じっと休息しているのにもそろそろ飽きて、京は、八神の寝顔を覗き

込んだ。

「八神。まだ寝る気か?」

「・・・・・・」

京が八神の髪をひとつまみして、ツンツンと軽く引きながら声をかけた。

だが反応なし。

「ずいぶんと寝つきのよろしいことで」

「・・・・・・」

「ここじゃ冷えすぎちまうぜ? とくにおまえの場合、属性がへビだか

らさ、この時期外で居眠りすんのは危険だ。そのまま冬眠しかねない」

「・・・やかましい。オレの眠りを邪魔するな。襲うぞ」

八神の言う意味を察して京が不敵に笑う。

「バーカ。そんな簡単に俺様をくれてやるかってんだ。あーもういいや。

気が済むまで眠ってろ。冬眠しちまえ。あー。でも、もうすぐ桜の花咲

くおまえの誕生日だぜ?」

「興味ない」

「まぁそう言うだろうとは思ったけどよ。その日はこの優しい草薙京様

が、起こしに行ってやるから。待ってな」

「・・・その言葉、忘れるなよ?」



ふと目を開けて京を見上げた八神の顔は、どこかしら幼くて。

そんな八神に京は愛しささえ覚えて、内心くすぐったい思いにかられる

のだった。






戻 る