「 ルナチック・パラノイア 」 





「ンっ……あっ…!」

必要最低限の調度が置かれたシンプルなフローリングの室内。

下肢から沸き上ってくる悦楽に京が思わず喉を反らせると、天窓に浮かぶ月が視界に映った。

淡い光を放つ月は、今自分を愛撫している男が背負う一族の紋章と同じ形をしている。

魅入られたようにぼんやりと月を見上げたまま、京は男のされるがままになっていた。

長き年月に渡って京達・草薙一族と相食む八神一族の当主・八神庵に。

庵は京を壁に背を押し付け立たせた状態にすると、ジーンズを膝まで下げおろして萎えている京

の牡を口に含んだ。京はねっとりと絡み吸い付く庵を引き離そうとその髪に指を差しいれるものの、

体は庵の求めに応じてしまってままならない。

「いや…だ。庵…いおり…」

消え入りそうな甘く掠れた声が庵の情欲を煽り、庵は京の牡を含んだまま、彼の先走りで濡らした

手を後ろに回すと双丘の割れ目に指を忍ばせた。

「そ、そこは…やだ…っ…アウッ…!」

我に返り、庵が何をしようとしているのか悟った京が反射的に身を強ばらせると同時に秘花も

一層硬く閉ざされたが庵がそれを許すはずもなく、両手で双丘をそっと、だが強く割り開き、舌

先で鈴口を嬲り筋を舐め上げて京の抵抗が緩んだ瞬間にヌメりもかりて一気に突き入れた。

そして抜かずにゆるゆると蠢かせながら京の快楽のスイッチを探る。


「アアッ…!!」

京の牡が漲ってきたことを感じると庵は顔を上げ、酷薄な笑みを浮かべて京を見た。

「いい子だ」

空いている片腕で優しく京の腰を引き寄せ己の猛りを押し当てる。一方秘花に埋められた指は

三本に増やされ、あいかわらず花を綻ばす動きをしては京を鳴かせ続けた。





「もう…これ以上は…」

「だめだ、京。立て」

幾度か訪れた絶頂を皮製のチョーカーで戒められ阻まれた京が、耐え切れずにその場に

しゃがみ込もうとするのを庵は許さなかった。 

「なん・・・か・・・・今夜のおまえ・・・イジワル過ぎ」


「そうか?」

 心なしか潤んでいる目に睨まれて、宥めるようにこめかみにキスする。

「・・・・・あの月のせい?」

「・・・・・」

 京の視線を追って肩越しにチラリと窓の外の月を見たが、すぐに興味を失ったかのように京に視線を戻した。

「月に憑かれたとでも思ったのか?」

「・・・・・ああ」

「ロマンチストなことだ。いい詩が書けるかもしれないが今は俺だけを見ていろ」

 喉の奥で小さく笑うと庵は行為を再開した。手淫で綻ばされた京の秘花にはワセリンが塗り込められ、

庵を受け入れる準備は整えられている。その内腿や胸、首筋へと所有の刻印を散らせると、

かろうじて壁に背を擦り付けるように立つ京の頬に、啄ばむようなキスをして耳元で囁いた。

「おまえのすべてを俺のモノにする。その証をおまえ自身に与えてやる。どこにいても俺を感じられるように」

 そう告げると庵は前をくつろげると京の片足を掬い上げるように抱えた。

「だめ…だめだ…こんな……いや…ぁっ」

 身を捩ったところで下肢を捕らえられればどうにもならず、露わにされた秘花に怒張した庵自身が押し当

てられる。


京は自分の体が軽く浮かされたと思った瞬間、庵の猛りに貫かれ声ならぬ声を上げた。



逃れようもない程の深さまで穿たれた京は、ささやかな反抗とばかりに庵の背にしがみつき、

思い切り爪をたてて肩に噛み付いてやったが、すぐに髪を掴まれ引き剥がされた。

「あ…」

庵の射抜くような鋭い視線に硬直した。

「とんだドラ猫だな。だがそんな目をしても俺を楽しませるだけだぞ、京」

「……う…うぁ……っ」

 クチュっと濡れた音をさせて庵はいったん京から引き抜くと、窓際のベッドに突き倒し、京が

体勢を整えるヒマを与えずにのしかかって再び挿入を果たした。

尻を高く抱え上げられ揺さぶられながら京は戒めを解こうと下肢に手を伸ばしたが、

それに気づいた庵によって手を捻じり上げられ、思わず哀願の言葉を洩らした。

「イカせて…ッ……庵っ…気が狂っちまう!」

「…わかっている。そんなに締め付けるな。お望みどおりすぐに、な」

 苦笑を浮かべながらも律動を止めなかった庵の動きが性急さを増し、両腕を京の下腹部に回すと

京の猛りを締め付けていたチョーカーの結び目を解いた。

「ウッ・・・ン…・アアッー」

 庵が深く穿った京の体を強く自分に引き付け欲望を解き放つ。

 京もやっとの解放を迎えたが、同時に体の奥深くに男の熱い迸りを注がれ、

八神の重みを受け止めながら、京は意識を手放した。





 清めた京の体にそっとシーツをかけてやる。やっと自分から解放されて眠りについた京の、

うっすらと開いた唇に指を這わせながら、その整った横顔に見入った。

「京」

 まだ欲しい、と血がざわめく。とめどなく湧き起こる欲情に本人も苦笑せざるをえない。

 眠り姫が抗議したら・・・・・・・・

「あの月のせいだとでも言っておくさ」



 月明かりの中で2つのシルエットは再びひとつになった。



                               ■ fin ■



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今となってはもう裏ページなんてないけども、「ウラ」向けにと書いたお話第1弾でした。