久しぶりに互いに向けて揮(ふる)った拳の勝敗は、ひとまずおいておくとして―。
今、京がいるのは、灯かりを落としたここでの庵の自室。
閉じられた障子の内には、月や星の光も桜の香も届かない。
八神のタフぶりをあらためて思い知り、京は悔し紛れにその背中に爪を立ててやった。
そういったささやかな反抗は、当人をいっそう燃え喜ばすだけなのだが…。
「く…うぅッ、やがみ…待っ…」
「いつまでこらえるつもりだ? 先にイけ」
「ん…ぁッ…っ…あぁッ…んっ…アアッ!」
夜具の上に組み敷かれた京が、穿たれた体を一瞬強く跳ねさせたと同時に、
それまでこらえていた切なげな甘い声をあげた。
震え、一度気を放ってしまえばもうどうにも欲望に抗えないのを知りながら、
かろうじて踏み止まっている理性とプライドが八神に溺れまいとする。
「無駄だというのに…。あいかわらず楽しませてくれる」
上から八神の、愉悦をはらんだ低い声がかけられた。ほんのわずかに息が乱れている。
「だが、そろそろ意地をはるのもそのぐらいにしておけ」
「ウルサイ…」
「クックック…。素直になればすぐ楽にしてやれるものを」
八神が喉の奥でちいさく笑って、ますますもって京の体を愛おしもうとする。
余裕を見せつける言動が気に障って、京は穿たれたままの腰を捩って八神から離れようとした。
それを八神が許すはずがない。
両腕を左右に押さえ込み、荒い呼吸に上下する胸の赤く熟れた尖りを口に含んだ。
「ぁッ!」
京の動きが止まる。
その間にも舌先は、芯をもって立ち上がったそれを湿らせ、歯を当ててくすぐるように愛撫する。
指の腹で愛撫されただけの先程とは違う刺激に、赤い尖りはますます硬く張りつめた。
「そこばっかり……やめろよ…っ」
と、言ったところでやめてもらえるわけはなく。
一方で右手がスルリと下腹を撫で下りていき、萎えていた陰茎をやんわりと掴まれた。
「!!」
爪先が裏筋を幾度も辿る。
「ンゥッ…アァ」
兆して脈打ち始めたのを手のひらに感じて、八神は声なく、目を笑いに細めた。
京の体がおのずと八神の手の動きにあわせて息を整えだした頃。
そろりと力が緩んだ瞬間をつけ入るように、さらに深く身を繋げた。
「あ…あ、あッ…」
肉襞を分け入る質感とただならぬ熱に、下肢はまるで電流が走ったように痺れる。
「京」
「!」
ただ名を呼ばれただけだけれど…。
耳元で囁かれた掠れ気味の低音は、京の性感に直撃した。
締めつけることで八神の雄のカタチをまざまざと感じ、
奥が濡れたと思った途端、全身の力がガクリと抜けた。
「どうした、京? これで終わりにできると思うなよ?」
「だ、から…ウルサイ、ってーの! …さっさと、…こい!」
「おおせのままに」
暗闇に慣れた八神の目に、瞳を潤ませている京が映った。
「あ!?」
八神に腕を引かれ、気がつけば入れ替わるように仰向いた八神の腰に跨がされていた。
鍛え上げられた八神の体だ。内腿に感じるしなやかな張りが京の肌をざわめかせた。
気恥ずかしさを覚えて腰を浮かせたが、掴まれ、強引に引き下ろされる。
「まだだ」
「八神…」
「もう思いだしただろう? 京」
持ち上げられた双丘が割られ、暴かれた秘所にまた八神の猛りが入り込む。
すでに濡らされ綻んだ蕾は重力に逆らえず、思いだした男のカタチを深く奥に迎え入れた。
「ィッ…やっアア…ッ!」
突き抜けるような刺激に京の上半身がしなる。
なおも追い上げるように突き上げ続ける八神の胸に、なにかが落ちた。
「?」
行為はそのままに指先で摘み上げ、目の前にかざしてみれば、それは桜の花弁だった。
先刻、桜の下で手合わせしている間に、
頭上で散った花びらが京の髪にでもひっかかっていたのだろう。
「ぁ…や、八神…ィっ」
婀娜声に目線を上げれば、揺さぶられている京からまたひとひら落ちてくる。
見上げているうちにふと、思う。
今宵、青闇に浮かぶ京は、人の姿をとった――
「婀娜(あだ)桜だな。しかも気が強くて、とても愛で甲斐がある」
八神はクッと唇を吊り上げて、これ以上は無理というぐらい引きつけて
京の奥を抉り、その内で漲りを解き放った。
弛緩して身を折ってきた京を受け止めて頬に手をかけると、
熱を帯びた吐息をつきながら、素直に顔をあげて寄せてきた。
八神は濡れている目尻をそっと拭ってやり、そっと囁く。
「そう…、前にも言った。京、おまえはオレが咲かせて散らせる花だと」
「…………」
「今はまだ咲き誇らせてやる。次のKOF、せいぜい楽しませてもらおう。ただし
おまえはオレの婀娜桜だ。間違ってもオレ以外の誰かに勝手に手折られるなよ?」
黒曜石のような目が凝視している。
そしてなにか言おうと開きかけた。
けれど八神はその唇を塞ぎ、屈強な腕の中に抱きすくめてしまった。
そうしたまま態勢を入れ替え、まだ力の入らない京の体を夜具に横たえてやる。
京は臆面もなく好き勝手なことを言ってくれた八神に、ひとつやふたつ、
何か言い返してやりたかったが、触れ合った肌から伝わる熱が心地良くて。
睡魔に誘われるままに意識を手放した。
衣擦れとジッパーをあげる音に気を取り戻し、まだ少し重たい瞼を開ければ、
視線の先に、障子を開けかけた八神がいた。京はけだるげな声をかける。
「どこに行くんだよ?」
「冷たい水が欲しくはないか? あと体を拭くものをな」
「お優しいことで。でもここまでしといて一人寝は嫌だかんな」
その言葉に、月明かりに照らされた八神がニヤリと笑みを零した。
「すぐに戻る」
外の陰影を映す障子に視線を当てたまま、
京はじっと八神が傍に戻ってくるのを待っている。
戻ってきたら、今度はこっちから抱きすくめてやるのだ。
それから言おう。
「誕生日おめでとう」と。
シンプルだけれど、なかなか面と向かっては言えないその一言を、
部屋がまだ暗いうちに。
散るを知らない、まだまだ盛りのおまえの花より愛をこめて。
‖アトガキ・ウラ‖
ご無沙汰しているこのテの文章。書き出してみると、やっぱり妄想ほどエロくならーんッ!
コトの最中の喘ぎ声とかって、私はもっぱら「ア」と「イ」と「ウ」と「ン」を多用しますが、
たまに「ヒ」と「ィ」はどうか? んー。ハード系になっちゃって私ごときのH文にはあわなさそう。
「きゃうっ…」とか「ひゃんっ」(笑)はロリっぽそうで、ちょっとイケナイこと考えちゃうからなー。
でもひそかに「ああん、エロですネ!」に尽きるものを書きたいと夢見ておりますわい。
いろんなパターンで、体位で!
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